< 新幹線トンネル剥落事故 | 客観説TQM
  • 古典品質管理からの脱却

トンネルの剥落2006年12月11日、山陽新幹線のトンネル内に異常見つかった。天井の一部が剥離して、線路の間に2個のコンクリート片が落ちていた。同年8月に点検した時点では異常は認められなかったという(報道記事)。

点検の意味に2種類あることを報道記者が知らないから、記事として殆ど意味をなさない。

 

緑線

1 機能点検

正常に常態かどうかの点検(多くは目視点検)である。これは
・この瞬間に異常があれば直ちに修復する。
・この瞬間に異常がなければ、1日~2日程度のごく近い将来にも異常は起きないであろう。

という考え方に立っている。従って、この点検は高頻度で行わなければならない。

2 信頼性点検

次の信頼性点検まで、正常な状態を継続できるかどうかの点検(多くはハンマー打撃音、超音波点検)である。対象物によって変わるが、半年とか1年ごとに定期的に行うのが普通である。

 

従って信頼性点検が的確に行われていれば、このような剥落事故は起きない。起きた以上は、管理システムに欠陥がある。

3 報道記者の怠慢

報道を見る限り、異常が認められなかった「同年8月の点検」が機能点検だったのか信頼性点検だったのか、不明である。
・もし「同年8月の点検」が機能点検だったなら、同年12月までの4カ月の間隔が長すぎる疑いがある。
・もし「同年8月の点検」が信頼性点検だったなら、その信頼性点検に欠陥があったことになる。

いずれにせよ、「なぜなぜ分析」という再発防止のための手続きが必要であった。

 

報道関係者の無関心によって、JR対するこの点の追求がされずに終わっている。大事故が起きれば「ワイワイ」騒ぐくせに、大事故に繋がりかねない「ヒヤリハット」について何の役にも立っていない。

 

報道は事実を伝えることが使命である。それは「偽りを報道してはならない」という意味で正しい。しかし事実を報道するだけでは使命を果たせない。読者・産業界・政界を啓蒙する各目を忘れてはならない。「こういう事実があった」というだけの無味乾燥な報道こそ、報道の使命を忘れている。

4 再発

2018年7月 JR北海道は29日、青森県今別町浜名の北海道新幹線奥津軽いまべつ-湯の里知内信号場間の「第2浜名トンネル」出入り口で、天井部分から剥がれ落ちたコンクリート片が見つかったと発表した。

「なぜなぜ分析」による根本原因の追究と対策を怠っか結果と思われる。報道陣が活躍すれば、山陽新幹の事故の「なぜなぜ分析」を生かしてJR北海道の事故防止に役立ったであろう。

(以上)