< 総合品質管理とは、その問題点とは | 客観説TQM
  • 古典品質管理からの脱却

problem-tqm時代遅れのTQMを見直し本来の姿を浮き彫りにして徹底的な活性化を図るため、TQM重大な問題点を説明する。

TQM(総合品質管理)とは、組織の全員が参加し、要求される品質・納期・コスト・安全・環境保護を満たすための「組織・活動・手法」を構築・維持・改善する活動をいう。

緑線

TQM(総合品質管理)

目次

1 TQMとは

・管理とは

・品質管理とは

・・経済的に

・・作り出す

2 活動

・日常管理

・機能別管理

・品質管理部の名称

・方針管理


・ひどいミス

3 TQM組織

・品質管理委員会

・機能別管理組織

・QCサークル

4 技法

・直交配列表

・FMEA/FTA

・なぜなぜ分析


1 TQM 総合品質管理とは

TQM(総合品質管理)とは、組織の全員が参加し、要求される品質・納期・コスト・安全・環境保護を満たすための「組織・活動・手法」を構築・維持・改善する活動をいう(研究者によって異なる)。

 

昔、TQCと呼んだ時代があった。それがTQMに変わった当時、この名称変更に関わったある大学教授(当時)によると、「TQCとTQMは、われわれ日本人とっては何も変わらない。「単なる言語上の問題で変更になった」という舞台裏の話を聞いた。

 

世界で日本が品質管理をリードしていた当時、日本の学者は盛んにTQCを欧米人の学者に振りまいた。ところが、外国ではTQC(total quality control )という英語は理解されなかった。日本の学者は「TQCとは、これこれ、こういうもの」と説明するが、

「それがなぜ、コントロールなのか? それは、マネジメントだろう」

と言われ、どうしても受け入れて貰えなかったそうな。それでTQMに変えた、というだけの話だそうで。しかし、そんな話は公言できない。TQCという名称は、実は英語力に弱い学者が誤って付けた名称だったとは言えない。そこで「TQCとTQMは、ここが違う」と、違いを強調する学者もいるという次第。

 

ところで、品質管理とTQMのどこが違うかというと、 品質管理は各担当部署がその部署の本来の日常業務として品質を管理するだけ。普通に、品質Q・納期D・コストC・安全S・環境保護Eの管理をする。

 

これに対してTQMは、超組織的な活動が加わる。すなわち、
・品質管理委員会
・方針管理
・機能別管理
・小集団活動(QCサークル) ・ヒヤリハット
~などが代表的なものである。

 

以下、
・管理の意味
・品質管理の意味
を説明した上で、TQMの問題点をかいつまんで説明しよう。

1.1 管理とは

仕事の結果を偶然に得るのでなく、支配することをいう。要するに、たまたま良い結果になったというのではなく、良い結果になるように仕組んで強制的に導くことだ。そのために、
・品質 ・納期 ・コスト ・安全 ・環境保護 について、問題が生じないように、
・規則を作り、
・プロセスや製品を設計し、
・実行に必要な経営資源を用意する。

 

問題が起きたら、
・原因追及と対策の実施、
・再発防止の改善、
などを行う。そして、これらの活動のやり方を維持しつつ改善する。この「維持・改善」を含めて「管理」と呼ぶのが普通である。

1.2 品質管理とは

1.2.1 JISの定義

買い手の要求に合った品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段の体系をいう(JIS)。 この定義で重要なところは、「経済的に」、「作り出す」の意味である。

(1) 経済的に

経済的といえば「安いこと」と思いがちだが、実は違う。安くて良い品質の物を作っても、
・納期に間に合わない、
・作る人 or 使う人がケガをする、
・作る際にor 使った後に環境を汚染するようだと、だ~めよ! というのがこの定義の意味だ。

 

具体的にいうと、
・品質(quality, Q)
・納期(deliverly, D)
・コスト(cost, C)
・安全(safety, S)
・環境保護(environment, E)

 

これらを同時に管理せよ、ということ。つまり

・「経済的に」とは「経済活動として」の意味である。
・安全・環境保護は「公益」だから最優先である。
・「私益」である品質Q・納期D・コストCの中では、品質Qが優先する。これを 品質第一主義 という。

 

qdc一体管理

 

品質第一主義は、品質Q・納期D・コストCを同時かつ一体に管理する QDC一体管理 が前提で、相互に矛盾するときに品質Qを優先することだ。いくら原価が安くて短納期で生産しても、モノやサービスの質が悪いんじゃだ~めよ、ということだな。

 

〔注〕私益である品質Q・納期D・コストCのうち、「品質Qが最優先」というのは、正常な経営環境での話である。例えばオリンピック景気で人手が足りず、納期遅れになれば受注打ち切りになって企業の存続に影響するような経営環境においては、事実上は納期優先になることもやむを得ない。その場合でも、将来の正常な経営環境での競争に勝つために品質優先の準備をしておかねばならない。

 

事例:
QDC一体管理の原則に違反した事例として、有名な新国立競技場事件がある。2019年ラグビーワールドカップ、020年東京オリンンピックのメイン会場として、1300億円の予算で建設が予定された。安藤忠雄氏を審査員長とするデザインコンペでザハ氏のデザインが採用され、JOCと有識者会議が決定し、建設工事が発注された。ところが、その後、建設費が3000億円かかり納期もラグビーワールドカップに間に合わなことが分かり、急遽デザインの修正が行われたが、それでも1700億円かかることになった。

 

世論の批判に耐えられず、安倍総理が白紙撤回を決め、デザインを再選考することになった。ザハ氏や工事発注の撤回に要した費用は、この段階で既に100億円に達した。

 

→ 新国立競技場プロジェクトの破綻

(2) 作り出す

品質を「作り込む」と同義である。

 

製造品質 の品質管理は、その製造を担当する作業者や指揮監督者の「作る」行為を指す。「他人が作ったものを検査すること」は品質管理ではない。他人が作ったものを検査し、その他の問題点を調査して報告する活動を 品質保証 という。これを専門に担当する部署を(普通は)品質保証部という。

 

この部署を「品質管理部」という名称にする企業もあるが、誤解を招き望ましくない。ここまでは、まぁ何とか理解できるとして、まさか営業部が「品質を作る」ことはしないと思っている人が多い。営業部、設計部、生産技術部、資材部、製造部、運送部等は、みな、品質管理部門である。なぜなら、これらの部門は、それぞれの品質・納期・コスト・安全・環境保護を管理する部門だから。

 

営業部が管理する品質とは、何じゃ?~という疑問を抱く方は、仮に営業部が「要求仕様のはっきりしない製品」を受注したらどうなるか考えてみれば分かる。「多分これでいいだろう」と製造指示を出して、いざ納入したら客先で不合格。そうです。営業部は、顧客が満足し、しかも利益が出て納期に収まる製品仕様を検討して売り込まねばならない。これが営業部による 営業品質 の作り込みである。

 

もし、顧客が仕様を明示しないなら、営業が「これでどうでしょう?」と提案しなければならない。設計部は、設計品質 を作り込む。顧客が満足する機能・信頼性の製品で、短納期で安く作れるようにな製品を設計する。生産技術部・資材部・製造部も同様に、品質管理部門である。

1.2.2 ISO 9000の定義

以上に対して、ISO 9000-3.2.10 は次のように定義している。

品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部

ここには品質しか含まれず、納期やコスト等との関係が規定されていない。その意味は、 ISOのQMS規格は「企業が対外的に品質を保証するための必要事項を規定する」のであって、納期やコストとの関係をどうするかという企業内部の問題を扱わない。~ということであり、QDC一体管理を否定する意味はない。

 

この点を誤解すると、
・品質だけを管理する部署 すなわち、「品質管理部」という名称の部署を設ける事態になることがある。

 

事例 → 新幹線台車枠の亀裂事件

2 活動

TQMの活動面の特徴は、
(1) それ以前からあった「日常管理」にQCサークルという改善組織を加えたこと、
(2)「機能別管理」を加えたこと。
(3) 方針管理が加わったこと。
いずれにも「間違い」が含まれ、今日に至るまで様々な弊害を生んでいる。

2.1 日常管理

日常管理とは、日常業務を管理する活動をいう。当然、QDC一体管理である。日常業務はTQM以前からあった業務だから、日常管理も従来から行われた。しかし、TQMではこれを強化するためにQCサークルという特別の活動を加えている。

 

日常業務とは、何じゃ? 日常業務 とは、その部署の本来の担当業務いう。
・製造部なら、製造すること、
・営業部なら、営業活動をすること。

 

日常業務には通常いろいろなムリ・ムラ・ムダがあって、持っている力が100%は発揮できない。そこで、
・ムリ・ムラ・ムダが起きないように事前に対策を講じ、
・起きているなら見つけて改善し ・再発を防ぐ処置をする。
~という活動が必要になる。これが 日常管理 である。

 

日常管理を担当する組織は、管理職(課長・部長)である。「管理職」という名称の由来も、日常の業務を管理する職務から来ている。その補助役(いわば、手足)として「係長」を管理職の下におく企業が多い。それでも日常管理は困難だ。
・どこにムリ・ムダ・ムラがあるか、情報収集が困難。
・原因を調査し改善する活動が困難。

 

そこでTQMでは、小集団活動(QCサークル)を追加し、日常管理を強化する道を設けた。ところが当時の推進を図った人々が上に述べた「自主性」を含めて4つの重大な間違いを犯したため、QCサークルは誤った道を邁進し、ついに事実上の 絶滅危惧種 になってしまった。本サイトでは、QCサークルを正常な姿に戻して活性化する道を示した。

 

間違いのうち特にひどいのは、QCサークル活動を「一発勝負の大改善」として扱っている点だ。QCストーリーに従って活動することを求められるが、QCストーリーは「一発勝負」になっており、小改善である日常管理とは全く相いれない。

 

QCサークル活動は失敗か許される小改善であって、CAPDサイクルを繰り返して「七転び八起」で小さな改善を積み上げるか等でなければならない。

 

詳細 → QCサークルの活性化

2.2 機能別監査

品質・納期・コスト・安全・環境保護を管理する各部署の機能に問題はないか、組織横断的に監査する組織である。

 

管理はこれらを一体に扱わねばならないが、監査(調査)は別々で構わないから、機能別に監査する。つまり、機能別「監査」と呼ぶのが正しく、機能別「管理」と呼ぶのは誤りである。しかし、出発時に犯した誤りはなかなか是正されず、今日でも「機能別管理」と呼ばれることが多い。

 

組織横断的に、
・品質専門、納期専門~という具合に別々に調査して、
・当該部署に問題点を指摘し、
・品質管理委員会で経営の上層部に報告する、 ~という活動である。

 

機能別監査では、通常、次のような組織を置く。
・品質保証部
・コスト委員会
・納期委員会
・安全委員会
・環境保護委員会

 

品質に関する監査は仕事量が多いので常設部署の「品質保証部」を置き、他は委員会にするのが普通である。

2.2.1 「品質管理部」という名称

TQCの出発時に機能別管理と呼んでしまったミスが、次の弊害を招いている。
・現在でも、「品質管理部」という名称の部署を設けている企業が少なからず存在する。
・品質管理は「品質管理部」が担当し、他の部署は品質管理をしなくてよいと誤解される恐れがある。
・傾向として、品質トラブルの多い企業に見られる特徴の一つである。

 

「品質管理部」という部署を設けている企業では、営業・設計・製造・資材などの部門は品質管理をしないものと誤解しがちである。一方「品質管理部」は実は品質保証部であって、品質管理をするはずがない。従って、こういう企業では誰が品質管理をするのか不明確で、品質トラブルが絶えない傾向となる。

 

営業部・製品設計部・資材部・製造部(以下、省略)は、全て品質管理部署である。
それぞれが、
・営業品質
・設計品質
・購入品質
・製造品質
・以下、省略
~ を作り込む立場にあるからだ。

 

従って、「品質管理部」という名称の部署はあり得ない。では、製造部や製造課の中に「品質管理係」のような部署を設ける余地はあるか? その余地もない。品質を作る作業者と上司が品質管理を担当しており、他に品質を作る部署はあり得ないからだ。

 

品質管理部、品質管理課、品質管理係などの名称がもたらす弊害は、
・それらの部署に属する人々は、品質管理ができるはずはないから、有効な仕事ができない。
・その部署以外の人々は、「品質管理をしなくてよい」と誤解する。

 

この間違いは、大企業にも起きている(→ 新幹線の台車亀裂事件)。

→ 目次へ

2.3 方針管理

経営陣が中心になって、ビジョンに基づき一定の研究期間を設け(長期計画)、メドが立ったら思い切った 発勝負の大改 をする活動(年度計画)である。

 

巨額の投資をするから、失敗は許されない。そのため、CAPDサイクルではなく、
・周到な準備のため、
・数年の検討期間(長期計画)を設けて、
・石橋を叩いて、
・メドが立ったら(年度計画で)一挙に革新を実現する、
~という活動である。

 

例えば、
・新製品・新技術の開発
・新事業の開拓 ・売上げ倍増
・不良ゼロ
・全自動化
~のような改革を狙う。

 

大金を投資するので、失敗が許されない一発勝負の大改善である。そのため、
・3年とか5年とかの研究期間を設け(長期計画)、
・メドが立った時点で
・年度計画に切り換えて一挙に実施する。

 

TQMの最大の目玉は、この方針管理である。成功事例として有名なものに、ユニクロの柳井正氏が行った「ヒートテック」の開発がある。

 

 

しかしながら、誤った指導が多く、成功する事例は極めて少ない。

→ 目次へ

2.3.1 ひどいミス

誤りの典型的な例は、
・方針管理はPDCAサイクルで行うとする学説が主流である。
・長期計画を研究期間だと知らずに、何の研究もしないことである。

 

すなわち、品質管理の学界は、
・CAPDサイクルで小さな改善を積み上げるQCサークルに「一発勝負」を要求し、
・一発勝負の大改善である方針管理に「CAPDサイクル」を要求する、
という真逆の間違いを犯している。

 

詳細 → 方針管理

3 TQM組織

TQMに特有の活動があり、それらを担う組織が必要になるために新設される組織をTQM組織という。ただし、方針管理については、その活動の中で必要に応じて組織の新設と廃止を行う。


3.1 品質管理委員会

3.1.1 構成

品質管理委員会TQMの最高決定組織であり、通常、社長が委員長を務める。開催頻度は、通常、毎月1回である(他に、臨時開催もある)。

参加者は、
・委員長
・事務局
・管理部門の長(営業部長、製造部長等)
・監査部門の長(品質保証部長、コスト委員長等)
・方針管理事務局
・(QCサークル事務局が参加する場合もある)

 

ここでの最大の問題は、品質管理委員長は誰が務めるか、という点だ。品質管理委員長は、委員会で討議はするものの、最終的な決定権限を持つ必要がある。

 

例えば、
・組織を変更する、新設する。
・品質マニュアルの規定を変更する
・部署や委員会の名称や厚生人材を変更する
・AI技術者を5名募集する
~というような、全社的な決定権や人事権がなければならず、通常は社長が務める。

 

3.1.2 ISO の規定

誤った事例として最も多いのは、「管理責任者」が務める場合である。その根拠とされているのは、ISO 9001-5.5.2 の管理責任者の規定である。

 

5.3.2 管理責任者(Management representative) トップマネジメントは、管理者層の中から管理責任者を任命すること。管理責任者は与えられている他の責任とかかわりなく次に示す責任および権限を持つこと。
a) QMSに必要なプロセスの確立、実施及び維持を確実にする(ensuring)。
b) QMSの実施状況及び改善の必要性の有無についてトップマネジメントに報告する(reporting)。
c) 組織全体にわたって、顧客要求事項に対する認識を高めることを確実にする(ensuring)。

 

この日本語の文章だと、「管理責任者」は品質管理委員会の委員長を務めるのに最適のように見える。ところが、この日本語は 誤訳 である。
ⅰ) “Management representative” に「管理責任者」の意味はない。
”Management” は経営者、 ”representative” は代理人である。社長が現場に出向いて現場の仕事ぶりや品質をチェックして問題点を探す訳には行かないから、「誰か代理をしてくれ、そして調べた結果を報告してくれ」という趣旨である。つまり、日本でいう品質保証部長のことである。

 

ⅱ) “ensuring” を「確実にする」と訳しているが、「保証する」すなわち「点検して確認する」という意味である。つまり、調査をする責任と権限を規定したものである。

 

この「管理責任者」は日本でいう品質保証部長のことであって、品質管理をしたり他部署に対して命令したりする権限はなく、調査をして上層部に報告するだけである。その報告の場が、品質管理委員会である。

 

新幹線の台車亀裂事故で川崎重工業が採用した再発防止策に、次の対策が含まれているのは、権限がなければ物事は進まないという事情を反映する。

・車両カンパニープレジデントを筆頭とする品質管理委員会を設置する。

詳細 → 新幹線の台車亀裂事故
→ ISO 9001の問題点(link)

3.1.3 社長が事務系の場合

「品質管理は、技術系の者が担当すべきだ」との誤解に基づく場合がある。

品質管理委員長が(機械、電気、電子、化学のような)技術の知識を求められ、あるいは技術を用いて問題を解決することを求められるケースは皆無であり、技術とは全く関係がない。にもかかわらず、先入観で「品質問題=技術問題」と思い込んでいる場合がある。

 

デパートの店員は、顧客からどのような質問を受けても答えられるように指導を受ける。営業マンは当然、自分が担当する商品の品質についてあらゆることを知っていなければならない。社長は、事務系かどうかに関係なく、自社が扱う商品やサービスの品質に詳しくなければ、品質第一を維持することは困難である。ただし、技術について詳しい必要はない。

 

さらに、
・営業の品質管理の推進
・コスト・納期の問題
・方針管理の推進
~等においては、事務系の品質管理委員長の腕の見せ所である。

3.2 機能別管理組織

組織横断的に品質・納期・コスト・安全・環境保護の状況を調査・点検して、対策案と共に品質管理委員会に報告する役目の機関である。

 

通常、次のような組織を設置する。
・品質保証部
・納期委員会
・コスト委員会
・安全委員会
・環境保護委員会

 

品質に関するものだけが「品質保証部」という常設の部署になっているのは、仕事量が多く日常的に監査が必要だからである。品質保証部のことを「品質管理部」と呼ぶのは、管理部門であるかの如く誤解を生じるので、止めるべきである。 品質保証部は、安全委員会などと同じように各部署の品質に対する取り組み状況を監査し、報告する機関であって品質管理をする部署ではない。

 

必要に応じて、
・ヒヤリハット委員会
・QCサークル推進委員会
~などを設置する場合がある。ここでいう「QCサークル推進委員会」は、全社的にQCサークルの活動状況をチェックし、問題点と改善案を報告する委員会である。委員は、

QCサークルの正しい姿を知る者

に限る。従来のような「QCストーリーでウソ話を作る活動」しか経験しない者は不適格である。

 

例えば、
・ウソ話を作っている
・問題が発生しているのに、手を付けない
・他にも問題があるのに、1件しか手を付けていない
・職場の長が無関心で、指導しない
・サークルに、有能なメンバーがいない
・多忙に過ぎて、サークル活動ができない
~というような問題点と対策案をまとめて品質管理委員会で報告する。

3.3 小集団(QCサークル)

日常管理を行うために、同じ職場に設けた数人の担当者からなるグループである。人数の多い職場なら、適宜に分割して複数のサークルを設置する。

 

QCサークル活動は、日常管理の小改善を扱う。費用を掛けない活動なので失費が許され、それゆえ、CAPDサイクルを重ねて「七転び八起」で改善を進める(図参照)。

capd

ここで問題なのは、QCサークルは(誰からも干渉を受けずに)自主的に活動する集団か?という点だ。1960年代にQCサークル本部の綱領で定めた定義によると、

同じ職場内で品質管理活動を自主的に行う小グループのことで、~

と規定されている。従って現在でも「自主的」が正しいと考え、そのように指導する人が多い。日常管理は本来、管理職の仕事である。 課長の指示を無視する集団を設けることはあり得ない(同旨・2007年、名古屋地裁判決:トヨタ堤工場事件)。

 

この過ちによって、日常管理はズタズタになった。QCサークルは、自主的な活動ではない。 課長の指導の下で行うべきであり、また課長は指導できなければならない。

 

詳細 → QCサークルの活性化

4 技法

QC技法のうち、 ・直交配列表の利用促進 ・FMEAの改良 ・なぜなぜ分析のただしい姿 ~について触れる。

4.1 直交配列表の利用促進

直交配列表は実験計画法で扱う手法である。分散分析・F検定と進むには、少し勉強が必要だ。QCサークルは、到底、手が出せない。

 

不良が発生しているときに複数の疑わしい要因を列挙する(下図)。ここまではQCサークルにもできる。面荒れ特性要因図

しかし、この後どうするか、手がつかないのである。実験計画法を知っている者にとってはたやすい問題だが、QCサークルは手がつかない。そこでQCサークルにも直交配列表を利用できる道を開いた。

 

詳細 → 直交配列表の利用促進

4.2 FMEA

Failure Mode and Effect Analysis (故障モードと影響の解析) と呼ばれ、製品や工程の故障しにくい性質(=信頼性)の観点から設計の合否を判定する手法である。

 

従来、長期にわたって指導されたやり方では、大方の人がギブアップする。
・「故障モード」と「故障」の区別が曖昧。
・「潜在的故障モード」という意味不明の概念が登場する。
・影響の厳しさ・頻度・検知難度を10 段階に評価することが困難。
・評価しても、どの故障モードに対策を要するか、判定不能。

 

従って、多くの疑問を抱きながら複雑なFMEA表を作成して形骸化した。本サイトが指導するFMEAはこのような困難不合理を是正したもので、多くの実践と指導実績をは差ねてきた。 TS16949 に適合し、ISO 9002の審査でも承認されている。

 

→ FMEA セミナー・出張講習

4.3 なぜなぜ分析

これも長年、誤って指導された手法である。

・トヨタ方式
事故が起きた場合に「なぜ、起きたか?」と問い、その答えに対してさらに「なぜ、起きたか?」と問い、「なぜ」を5回ほど繰り返すことによって「真の原因(true cause)」に辿り着く、という。

 

しかし、航空機が墜落した場合を考えると、この種の「なぜなぜ分析」が全く無意味であることが分かる。航空機の場合は、「なぜ?」を繰り返しても原因は分からない。
・残骸の収集 ・ボイスレコーダーとフライトレコーダーの収集
・これらの分析 によって原因を解明する。
つまり、データの収集と分析を繰り返す。

また、その1件の事故の原因に対策を講じても、次に別の原因で事故が起きる「モグラ叩き」を防げない。


・要因因展開説
事故が起きた場合に、「なぜ?」を繰り返すことによって全ての要因を列挙し、それぞれの対策状況をチェックし、対策が不十分なものに対策を講ずる。これによって再発が防げるという。しかし、これだと真の原因が確定しないから問題が解決しない。まして、管理のずさんな点(根本原因)が分からないから再発も防げない。


・根本原因説
再発を防止とは、管理のずさんな点(根本原因)を探して是正することである。
従って、「なぜ?」の意味は根本原因(root cause)を問うことに他ならない。
本サイトでは、この考え方によって多くの指導実績を有している。

→ なぜなぜ分析

→ 目次へ

(以上)